おれんじ・ちょこれーと


似合わへんのはウチの方やから。


本当は、隣で笑ってたかったんよ?
最初は幸せやったもん。なのに、なのに、




「だから、もぅ終わりにしよ」


自分でも情けない声だと思う。
こんな時こそ気ぃ強う持ちたいのにやわやわと崩れてくんよ。
だから、悠。


ウチがあんたにすがりつく前に、離して。
別れる相手に弱いとこ見せたくないんやから。


「悠………」

「馬鹿蜜柑っ!」

「…ーーなっ!」

「早く言えよっ!馬鹿!」

「馬鹿ってなんやねんっ!せめて阿呆って言えーーー!!!」


じたばたと暴れるウチに悠はえ、と声を漏らす。
呆けてやがるのになんで余計に力強なんねんっ!ぎゅぅっう、と効果音がついてきそうなくらい抱き締められて中身が出そうになりつつ肘鉄を食らわせる。
あ?勿論、鳩尾に決まってるやないか。


「み、かん………俺を殺す気か……」

「それは、こっちの台詞じゃアホタレッ!窒息死してまうわっ!!」


鳩尾を抑えながらずるずると崩れ落ちる悠に仁王立ちをしてみおろす。



 意外と柔かったわー。
 バスケしてるから体幹あると思ったら
 糞しかなかったわー。
 なんや、ようこれで出来とるなー。
 わからんわー。
 鍛えてるんとちゃうかったんやー。


見る見る内に小さくなっていく悠にもうひと釘刺そう思うて口を開いた瞬間、立ち上がった悠に口をふさがれそうになって、ガブリと噛んでもーた。


「いっ!!!!」


噛まれた指を抑えてまたしゃがみこむ。
うん、もー、知らん。
ごめんなさいやけど逃げるわっ!


逃げるが勝ちやっ!



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