デキちゃってない結婚
 美月がそう言ったので土地勘のある真理子がカフェに案内した。真理子はカフェに行く間もサングラス越しの美月の不安な顔には気が付きもせずルンルン気分だった。

 カフェに到着すると小竹が中の様子を確認してから入った。小竹は真理子に何を飲みたいかも訊かずコーヒーを三つ注文した。コーヒーが来ると小竹が窓側から一番離れた席へと歩き出したので真理子もそれに着いて行った。

 美月を奥側の席に座らせると真理子がその正面の席に座ろうとしたので小竹は自分の正面に座るよう促した。理由はもし正面だと記者などが店内にいた場合、写真でも撮られたら紛らわしい事になると予測したからと、真理子が小竹の正面に座れば美月が他の客から見えにくくなる為だ。

 それでも真理子はニコニコと、芸能人のプライベートは大変だな、とこれから何を言われるのか何て予測もしていなかった。

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