デキちゃってない結婚
「そういえば真理子さん、この前編み物してましたよね、あれ誰かに作ってるんですか?」

 純一が編み物の話しをしたので真理子は美月の事を思い出してしまった。苦い顔をして、そっぽを向いた真理子は「いいや」と応えると、真理子はあのセーター、一週間で結構編んだのに、もったいない、と心の中で思っていた。

 もう美月には作らないんだ、この際純一君にプレゼントしようかな。真理子はそう考え、純一にセーター作ってあげると告げると純一は嬉しそうに「ありがとうございます」と応えた。

 真理子が青色で途中まで作っている事を説明し、他に何色をいれたいか尋ねると、純一は何かを思い出したように部屋にあったボロボロの青色の手袋に目を向けた。

 純一は母子家庭で育ち小学生の頃は貧乏で大した服など持っておらず、何時もクラスの子達が着ている服が羨ましかった。

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