デキちゃってない結婚

　冬になると何時も母が純一にセーターを編んでくれていた。母は手芸が得意で仕事や家事で忙しいのにセーターを楽しそうに編んでくれていた。

　いつも母が編んでくれる物は一色で、青色が多かった。純一が「また青」と呟くと決まって母はこう言った。

「男の子は青色だもんね」

　それでも純一は青色一色のセーターが嫌だった。でもある日クラスの友達に、じゅんちゃんはいいよなぁ、お母さんの手編みだもんなぁ。そう言われ、素直に嬉しかった。

　自分には他人から羨ましいと言われる物など無いと思っていたから、純一は物凄く嬉しかった。

　そんな昔のことを思い出して、純一は真理子にこう言った。