デキちゃってない結婚
桃香は敢えて、怒ってないフリをして電話を掛けた。それは感情のままに話すと相手が怖がって、嘘を言う可能性がある、それを避ける為だ。

しかし桃香が頭に並べた親しい人物たちは白だった。桃香は頭を抱えて悩乱し、またケータイを床に投げつけた。

「いったい誰なの!」

 それは桃香にわかるはずはなかった、何故ならその女性は桃香とまったく面識が無ければ、名前すら訊いたこともない人物、さらに美月とも面識は薄く、美月と桃香の会話で出てくるような人物ではなかった。

相手もわからない、きっと名前を訊いてもわからない。哀愁を帯びた桃香の瞳から流れる涙が哀感を漂わせた。

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