デキちゃってない結婚
実家からは毎日のように帰っておいでと電話が鳴った。いつしかその電話に出る勇気すら出なくなった。

しかしチャンスはやってきた。このまま死んでしまうのかなと小さな部屋の黒く濁った壁を見つめ消沈している時だった。ブルブルとケータイが鳴り、相手はバイト先の先輩からの電話だった。

今すぐ会いたいから近くの公園に来てくれないかという知らせで、断る理由もない桃香は公園へと向かった。

公園に到着すると先輩は嬉しそうに桃香を迎えた。

「さっきお店にモデル事務所の人が来て、桃香ちゃんのこと色々訊かれてね、それでこれを貰ったんだ」

 先輩は桃香に持っていたチラシを渡した。

< 186 / 278 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop