デキちゃってない結婚
「もぉあの佳奈ちゃんって子、また在庫品の数書き忘れてたのよ、絶対わざとよ、私を困らせようとしてんのよ、ちょっと可愛いからって調子に乗ってんのよ」

 夏歩は真理子の癖をよく知っていて、テキトーに頷いて共感してるフリをして、渡されたとんこつ大福の箱を台車に乗せた。

「私さぁ、佳奈ちゃんぐらいの歳の時は佳奈ちゃんより断然可愛かったと思うのよね、ほら私がいるだけで売上凄かったでしょ」

「はいはいそうね」

「それにさぁ」

「あっあたし喫煙所に行くから」

 真理子の言葉に被せるように言った夏歩は、綺麗に台車に積み上げたお菓子を避けて逃げるように喫煙所へと向かった。

< 2 / 278 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop