デキちゃってない結婚
「真理子さんこの前はすいません、鈍感で」

 何に鈍感だったのかはわからなかったが、真理子は顔が真っ青になり口を開けたまま固まった。

まるで銅像のようになった真理子にニコニコしながら春菜が近付いて肩に手を乗せた。

「大丈夫ですよ酒井さん、あの後真理子さんプロポーズされたんですから」

「そうなんですか、良かったじゃないですか」

 あの日真理子は金子美月にプロポーズされていた、思わず、いや心臓が爆発するぐらい嬉しかくて、素直に「はい」と言った。しかし真理子はテンションが上がりすぎたせいか、子供のことを忘れていた。いや金子美月のこと以外全てを忘れていた。

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