デキちゃってない結婚
真理子は電話越しに謝る美月に相槌を打つこともなく、麻瞬きすら忘れ、ただ朝に見た真っ白な空を思い出していた。

 きっと自分は遙か彼方の空を眺めていて、きっとその青空を真っ白い雲が包んでいて、ただ近くに感じただけなんだ。

現実をしっかりと見ていれば、手が届く距離ではないとバカでもわかる事なのに。

なのに自分は飛行船にでも乗ったつもりでいた。白い雲を突き抜けて、青空に包まれていると思っていた。

自分はただの一般人、きっと出会ったのも偶然でたまたま、神様が決めた巡り合わせでは無い。

冷静に考えればわかったのに・・・

そんな事を思い、真理子はゆっくりケータイを耳から離した。

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