デキちゃってない結婚
「そうですよ真理子さん、元気出しましょう」

 夏歩は純一も一緒に連れてきていた、なんとなく純一なら自分より上手く励ませるような気がしたからだ。

しかし真理子は純一をわざわざ連れてくる何て、夏歩は自分に追い討ちをかけようとしているんだと思っていた。

 何故自分だけ・・・。そんな思いがどんどんと積み重なっていって、真理子は今生きている現実が夢だったらどんなに幸せだろうと思った。

いつの間にか流れ出した涙で、じんわりとぼやけて見える海は、変にキラキラ輝いていてまるで幻の世界にいるようだった。

それならいっそ幻の世界に全てを置いていこう。これからは現実を生きるんだ。真理子は心の中で誓い、持っていたバッグに手を伸ばした。

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