デキちゃってない結婚
 困った顔をした夏歩だったが、マネージャーの住所もわかったから大丈夫でしょ、そう自分に言い聞かせてラッピングの続きを始めた。

「そういえばだけど、純一君って真理子のこと好きだったんじゃないの?」

「そうですけど」

 その言葉を訊いて夏歩はいったん作業を止めた。

「いいの?美月君にとられちゃうわよ」

 純一は何時ものようにニコッと笑った。

「真理子さんは僕にとって、運命の相手ではないと思います」

 その言葉には色々な思いがあった、純一は真理子のことは大好きだったが、真理子を好きになる前にも好きな人がいた。

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