デキちゃってない結婚
恋愛においては当たり前の話ではあるが、純一にとって前に好きだった相手は特別な存在だった。

 高校を卒業後、純一は調理師になる夢を追い掛けて東京へとやって来た。貧しい家庭だった為、調理の専門学校に行くお金は無かった。

地元で調理関係の仕事に就くことも考えたが、東京に行けば何かが開ける気がした。

大した理由何てない、でも東京にやってきた純一は調理関係の職安をあたってみたものの、調理の勉強すらしたこともない純一を採用したいという料理店は無かった。

仕方なくアルバイトを掛け持ちしながら遣り繰りしていた。

朝から夕方までレストランの厨房での皿洗い。夜から深夜にかけては、ラーメン屋でのアルバイト。

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