デキちゃってない結婚
休み何て無かった、いや寝る暇も無かった。

でも純一がそんな生活が出来ていたのは夢があったから。

しかし東京に出てきたからといって、夢に近づいたわけではなかった。レストランのバイトは皿洗いばかり、オーナーに調理もしてみたいと申し出たが、そのうちと断られた。

何かを掴もうとしているのに、掴めるヒモは沢山あると思っていたのに、手がまったく届かなかった。

次第に自分が何故東京という街にやってきたのかすらわからなくなった。

何やってんだ、何やってんだ、その繰り返しの毎日だった。

純一が東京で獲たものは、不甲斐なさだった。

 でも、そんな不甲斐ない毎日を変える出来事がやってきた。

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