デキちゃってない結婚
「先輩気を使わないでください、私も実はそんなにスパイスキッド好きじゃ無いですから」

 その言葉に真理子は目の前に大きな壁が出来たことを感じた。

「先輩は映画とか見たりしますか」

「見るよ、美月君が出演してるやつとか」

 真理子は必死に壁を壊しにかかった、これを逃したら一生後悔すると思ったからだ。

「だから先輩気を使わないでくださいよ」

 笑って言う佳奈の表情を見て真理子は目の前に壁が出来たことを確信した。

「私はサスペンスが好きですね」

「私はスパイスキッドが好き」

 もうこうなったらヤケクソだった。しかし。

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