デキちゃってない結婚
「あのぉ、抹茶ドーナツ一つ」

 曽和子は手のひらで頭を抱えて「はぁ」と溜め息をついた。

 真理子はドーナツを嬉しそうに頬張りながら店から出て来た、それを子供を見守るような目で曽和子は見ていた。

真理子が戻って来たのでまた二人話しながら歩いた。

「んで凄い事って何?」

「実はね、今度スパイスキッドの金子美月君と会うんです」

 変なポーズを決めて言った真理子の言葉に、さすがに曽和子も驚いた。

「何でまた?」

「仕事場の後輩の子が、兄が美月さんと同級生で今度ライブ終わった後一緒に打ち上げするみたいで、真理子先輩も来ませんか?真理子先輩美人なんできっと美月さん真理子先輩が来てくれたら喜びますよ。って言われちゃってさぁ、仕方ないなぁって」

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