デキちゃってない結婚
 変なことでパニックになっていた真理子だったが、三十歳にもなると冷静だった。

「やだ」

 子供のように言った真理子も夏歩と一緒で三十歳にもなってアイドルのような事をするのは物凄く嫌だった。

「ほら私より真理子の方が若く見られるし、今でも人気じゃない、真理子目当てで来る人もいるし」

「ラーメン屋の酒井君だけでしょ」

「まぁ・・・でも酒井君良いじゃない」

「良いってラーメン屋のどこが良いのよ、しかも博多でラーメン屋やってんのに味噌ラーメンだし、それにさぁ」

「あっ、そろそろ行かないと」

 夏歩はまた真理子の言葉に被せて言うと、ダンスを引き受けてくれなかったせいか、溜め息をついて喫煙所から出て行った。

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