純情彼氏
その捨てられそうになった犬みたいな顔ズルい

「……駄目じゃないけど」

ほら…あたしが何も言えなくなる
胸だけが締め付けられたように痛くて

「……七海?」

不安そうに顔を覗き込む橘に頬が紅潮して
顔を見せたくない

「圭…お前そろそろ教室戻った方がいいぞ」

「えっ!?あぁっ!!」

呆れたように杉山がため息をついて
時計を見るように促した
時計が示す時間は始業1分前

橘も慌てて教室に戻っていく

「七海また後でっ!!」

そう言葉を残して教室に戻る橘に
あたしは少し寂しくなった

…しょうがないよね
橘は違うクラスだもん

我が儘言っちゃ駄目だよね…



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