純情彼氏

終わったのか橘は息を吐いて
ケータイの画面を見つめた
その顔は腹立たしいが何も出来ないといったそんな表情だった

ジッと見つめたままの橘がふと視線を上に上げたからあたしは慌てて手を振った

誤魔化すのが下手にもほどがあるでしょ


笑ってみたけれど左頬は軽く引きつっているし
きっと酷い笑顔だと思う


「………っ…」

橘は驚いた表情から柔らかい笑顔を浮かべ

手を振り返してきた


口がぱくぱくと動いている


< 122 / 302 >

この作品をシェア

pagetop