純情彼氏
あんなにひどい事されたのに
「…橘……」
あたしね…嫌いになれなかったんだよ
橘のことを何度も何度も恨んでは泣いて
それでも嫌いになれなかった
ずっと好きなままなんだよ
「……ん…」
あたしの声に反応して橘は身じろいだ
「………な、なみ…?
……っ…なんでっ!?」
驚いた声を上げて逃げようとする
ひどく…憎しみの籠もった瞳があたしを見据える
「久しぶりだね」
緊張が張り詰めた空気の中であたしと橘はただ見つめ合った