純情彼氏


「母親のことは俺の中でも片は付いてた
問題は弟だ
俺のこと眼中にすらねぇんだ
話してる間もずっと俺の方を見ねぇんだ
こちとら毎日の借金返済にバイトで走り回ってたのによ

……暮らす場所が違えばこんなにも違うのかって」

声が震えていた
きっと悔しかったんだ

悲しかったんだ


唯一無二の家族に存在を疎まれたから


「…ソイツはさ全部持ってたんだ
立派な家庭、ちゃんとした親、暖かな暮らし、人気、綺麗な顔、モデル並の体型
………あぁ女も持ってたなぁ」

先輩は悲しそうに笑った
血は繋がっているのにこんなにも違うのかと

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