純情彼氏


「…大事な人がいたとは聞いてたけど
あんなに優しそうな目してるのそれを聞いたとき以来だったな」


俯いてミルクティーをかき混ぜた
合わせる顔もないしかといって返す言葉もない


「武くん…大事にしてたんだね」

店長さんの言葉に耐えられなくなって席を立った

「長い時間すみませんでした
お会計……」

「武くんが払っていったよ」

益々自分が惨めになっていった
店長さんはきっと先輩のことが好きなんだ
愛おしむような、大切なものを見るような目で先輩に接している

好意が無かったらそんな風に接することはないと思う


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