純情彼氏

お店を出て真っ直ぐ家に帰った


「ご飯いらない」

それだけを告げて二階にあがった

ジワジワと涙が押し寄せてくる
神様は意地悪だと少女漫画ではよく言うけど確かに意地悪だな

「……どうしたらいいか分かんないよ」

全部を知った今は道標がなくなった


ずっと部屋に閉じこもって空を眺めた
丸い月と星が暗い紫色と紺色の空に散らばっている

「……圭に送ってもらった日もこんな空だったな」

また涙だけが頬を伝っていった


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