純情彼氏


俯いてケータイを弄っているゆき君に声をかけた


「七海ちゃん久しぶり~
話はねぇここじゃしにくいかなぁ」

緩いパーマのかかった黒髪を揺らしながらゆき君は苦笑いをする
片方だけのえくぼがゆき君を愛らしくする

「ここじゃ?」

「うん。ちょっとねぇ」

「……うーん…
杏は知ってるの?」

「杏は知ってるよ。杏は、ね」

少し意味深な言い方をしてゆき君はあたしの手を引いた

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