純情彼氏

「おー、頑張ったな。渡辺荷物片づけとけ」
くしゃくしゃと頭をかき回されて髪がぼさぼさになる。

「ちょっとっ」

「じゃ、俺出してくるわ」

あたしからの一撃を交わしてプリントを持って杉山は部屋から出て行った。
ふと視線を感じて振り返れば杏がニヤニヤしながらあたしの方を見ていた。

「………何よ」

「いやー…お熱いなぁーと」

「あんず下世話。サイテー」

棒読みで返して荷物を纏めていく。

散らばった荷物の中にケータイが光って埋まっていた。

「……誰?」

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