純情彼氏
「ちょっとこっち来い」
「………」
黙って近づいていったら後頭部を急に引かれた。
グッと杉山の顔が近くなって何が起こったか分からない。
「………んっ」
唇に当たるのは温かく柔らかいもの。
その温度はすぐに離れていった。
「…好きでもねぇ奴、誰が送るかよ」
不機嫌全開の顔で杉山はあたしを突き放した。
「……告白の返事。いつでもどーぞっ」
来た道を戻りながら杉山を小さく手をひらりと振って暗闇に消えていった。