純情彼氏
「……あっ」

聞こえるとは思わなくて慌てて口を押さえた。


「…そうだなっ!!どうせ俺は女々しいし、女の子に対する理想も高いよっ」

真っ赤かな顔のまま目の端に少し涙を滲まして橘はあたしに反論をした。

「そこまで、来るともう凄いと思うけど…」

呆れ半分、感嘆半分であたしは零した。


「も…ほんと…自分が嫌だ」

ぐずぐずと鼻を啜りながら橘は近くにあった椅子に腰を下ろした。
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