純情彼氏

ぎゅっと親におもちゃを取られそうになった子供みたいに杉山からあたしを逸らして抱きしめる。

少し香水の匂いがして嫌だけど……
この体温は…本物だ……


「……いーから渡せっ」

「やだ」

駄々っ子のように口喧嘩をし始めた2人。
徐々に橘も力を入れてあたしを抱きしめるから
あたしはただ力強さに顔をしかめるばかりで


「……いい加減にしなさいっ」

橘の身体を力強く押した。

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