純情彼氏


授業が終わって今日はもう帰るだけだった
別に委員も何もないし

「杏、帰ろ?」

「ごめんっ!!あたし、ゆきと帰るんだっ」

「あ……うん、いいよ。あたしの方こそごめんね?またね」

2人の時間を邪魔したような気がして申し訳なくなって


「じゃあまたねっ」

幸せ絶頂の杏が少し羨ましかった
鞄に荷物を詰めてると机の上の携帯が振動した


「っ!?…びっくりした。誰だろ?」

カシャンッと渇いた音が教室に残った

「~~~~っ!?」

息が上がって指も震えて……いや身体が震えた
怖い…怖いよ……っ
何で……何で…っ!?

『返事早くして』

短い文が画面に浮かび上がる

何で分かってくれないんですか
あたしをどれだけ追い詰めたら先輩は気が済むんですか……っ!


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