純情彼氏

右手から伝わる体温



隣の棟の屋上
あたしはただ一心不乱にそこを目指していた。
きっとそこに居る気がするから

「………つ…ついた」

きっと…居る。
居て欲しい。


「………落ち着け心臓」

ひんやりと冷たいドアノブに手をかけゆっくりとドアを押した。


「………っ…」

ただ暗い闇夜がドアの向こうに広がっていて、ドアから入り込んで足の下を通る風に頭が冷えていく。

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