私とアイツはバカップルではありません!!


「……あれ?
そんな桶、家にあった?」




よく見ると私の見知らぬ柄だった。
というよりうちの家は"洗面器"だったはず。

私がそう言うとチラッと一瞥して奴は一言。




「……あぁ、持参した」




………マジか。


まさか往来を桶持ちながら来たのか、コイツは。




「…おふくろに彼女が風邪引いたっつったらタオルと桶と熱さまシートと薬とお金持たされた」




…お母様、準備良すぎです。




「ポカリも買ってきたから、また後で飲めよ」




「ありがとう」




何となくタオルを手に取ってみると、絞りすぎて水気がなかった。



…少し、胸がほっこりした。
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