私だけのヒツジ(執事)
はあぁ・・・。
もはや、溜息しか出ない。


俺の目の前には、流星。

「瑠璃ちゃんのお迎えだろ?僕も行くよ♪」

当然のように、俺に告げる美丈夫。


見た目はいいのに、まるで散歩を待つ犬のようだ。

(「早く行こうよ、行こう?ねーねー、ワンワン」)

きっと心の中で、そう叫んでいるに違いない。
忠犬、ゴールデン・レトリバーめ。

全く・・・
いつからここにいたんだよ?


文句の一つでも言いたげな俺に気付いたのか

「『僕も行く』って云うより『僕が行く』だよね?
瑠璃は僕の奥さんになる人なんだから当然だろ!」

尤(もっと)もらしく、言い放った。


「何言ってやがる。瑠璃は、如月家の一人娘なんだよ!」

「だけど、もうすぐ『早川瑠璃』になる!」

「今はまだ『如月瑠璃』だ!!」


一度始まると終わらない言い争い。
低レベルだな・・・。

こういう時の流星は本当に頑固。
どこのお子ちゃまだよ?ってぐらいに。

だから仕方なく、こんな時は俺が折れる事に決めている。


だって・・・

  俺はオトナだからな!



内心舌打ちしてるのはナイショだ。
チッ!




*************

史也は流星の事を『ゴールデン・レトリバー(薄茶)』のようなヤツと思っています。
ちなみに流星は史也を『ジャーマン・シェパード(黒)』とイメージしてます。(笑)

ジャーマン? ドイツ人とのハーフは流星なのに・・・アレ??

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