私だけのヒツジ(執事)
「・・・兄さん、史也兄さん!!」


瑠璃の呼び掛けにハッとする。

マズイ、完全に耽(ふけ)ってた!
慌てた素振りを努めて隠し、微笑む事も忘れない。

「兄の史也です。
いつも瑠璃がお世話になり…ありがとうございます」

やんわり微笑むと、ポッと頬を染めるちんちくりん。
次に俺と流星を交互に見回した。

「ゆ、友人の杉田ですっ!こっ、こっちらこそ・・・お世話になってます」

どもりながら真っ赤になってやんの。

Mなのか?(爆)


黙りこくったちんちくりんの横から瑠璃が援護射撃する。

「弥生は、杉田出版のお嬢様なんだよ~!」

「やおいっ!?」

思わず声を上げた俺に、大きな目を更に見開くちんちくりん。


「もうやだ、兄さんったら!!弥生だよ、ヤ、ヨ、イ。
三月生まれだから『弥生』なんだよね??ね~、弥生ちゃん」

よっぽど動揺したのか激しく首を縦に振るちんちくりん。


弥生じゃなくて、やおい・・・。
絶対ソレだよな、コイツ。


相変わらず意味の解ってない瑠璃と流星はキョトンとしてやがる。

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