私だけのヒツジ(執事)
瑠璃が予約してくれたのはお洒落なイタリアンのお店だった。

「ステキなお店だね。未来の旦那様と来たの?」

「うん、流星さんとも来たけど・・・元々は兄の紹介。
今日も予約してくれたんだ」

「お兄さん?」

「うん。上の兄」

「そういえば、私って瑠璃のお兄さんに会った事ないよね?」

人生の殆どを瑠璃と過ごした割には、実はまだ瑠璃のお兄様方に会った事がない私。

「うちの家族は基本、小山内家最優先で生きて来たからね。殆ど家にも居なかったし…。
その点、弥生のお兄さん達は何かと行事の度に来てくれてたよね?羨ましかったな」

羨ましい!?
あの喧しい兄貴どもが??

「一番上のお兄さん…睦月(むつき)さんだっけ?
おじさんの会社を継がれたんだね。この前、新聞で見たよ」

「あ~、まぁね。もういい年だしね」


うちの父は出版社の経営をしている。
『杉田出版』といえば、そこそこ知られてる方だとは思う。

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