男の中の男


ここの男達は、会話は、交わさないが非常に礼儀正しい。




身体が軽く当たっただけで、頭を下げる。




そこには、武士道にも通じるような男ならではの礼節がある気がする。




皆の目は、真剣だが周りは、きちんと見えている勝負師の目だ。




真剣だが、周りが見えているというのはあらゆる強い格闘家に必要な条件だと思う。




真剣になりむきに、なりすぎる格闘家は弱い。




真剣勝負は、必ず周りが見え自分自身を客観視出来ないといけないと俺は、思う。




俺も剣道をやってるから良く分かる。




ここの男達は、そういう勝負師が集まっている。




女子供の居ない世界は、緊張感さえ心地良く感じる。




普段は、忘れがちな自分自身が牡である事を気付かせてくれる。




ここは、礼節のある野生の世界なのだ。



俺は、チーターにでもなった気分になる。




普段女子供に、遠慮したり気を使っているのが、馬鹿馬鹿しくなる。




俺は、三十分ほどで決めると男の世界を出る。




残っている男達に敬意の念を抱きながら。



< 2 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop