お姫様は王子様を演じてる
みんなで夕食を食べた後もなんだかんだとリビングでゴロゴロしていた時…
「何かすっげー暇だなー。ゲームでもやるか…?」
「じゃあ、ババ抜きやりたい!」
ケイが暇過ぎて何の気無しに言った言葉に思わず反応してしまった。
「ババ抜き?
それマジで言ってんの?」
ケイは若干口元に笑みを浮かべて馬鹿にしたように私を見る。
「うん、ババ抜き!
やったことないんです。
だからやってみたくて…」
「えっ…無いの?」
悠斗が驚いたようにして、ソファーに横たわっていた体を起こしながら言った。
「はい…」
「うわっ、信じらんねー。ババ抜きしたことない奴なんているんだな…」
ケイの言葉はグサッと私の胸に刺さる。
しょうがないじゃんか…
父さんと私の二人でババ抜きしてもつまんないし、学校ではやるような雰囲気にはならなかったんだから。
「ババ抜きねぇ…僕はやってもいいけど兵藤とケイはどうする?」
「俺は別にやっても構わんぞ!!」
「俺もいいけどさー、澪はやんの?」
本を読んでいた澪はケイの言葉に軽く顔を上げるとニヤリと笑った。
「……やる、けど負けた奴の罰は俺が決めるからな」
澪の一言に四寮メンバー全員の顔つきが変わった。