お姫様は王子様を演じてる



それは、本当に突然のことだった…



いつのものように、朝起きて歯磨きをして。



お気に入りの可愛いセーラー服に袖を通す。



食卓に座って家族で朝食をとっていると父さんは爆弾を落とした。



「お前、来週から霧ヶ峰に通うから」



えっ?
霧ヶ峰?
確か男子校ですよね…



「あの…父さん?意味がわからないんですけど…」


困惑気味な私を見ても父は朝食のパンにバターを塗って黙々と口に運ぶ。



「お前役者になりたいんだろ?」



「うん…なりたいけど」



私の夢は何でも演じれる女優になること。



大好きだった母さんのように…



もういない母さんは世間では名が知れた女優だった。



私が小さいころに事故で亡くなった母さんを恋しがるたびに父さんは母さんのでていた映画を見せてくれた。


何本も、何本も…



< 3 / 190 >

この作品をシェア

pagetop