お姫様は王子様を演じてる
映像の中でくるくる変わる母さんの表情。
聖女にも悪女にもなって、性別さえも越えて演技をする母さんはとても魅力的だった。
私もこんな女優になりたい。
自然といつの間にかそう考えるようになっていた。
父さんはそんな私の夢を聞いて反対をするわけでもなく賛成をするわけでもなかったのに…
「……私の夢と男子校と何が関係あるんですか?」
ちゃんとした理由が知りたい。
今の高校は家からも近いし、制服だって結構気にいってる。
男子校に通えと言われて、『はい、わかりました』とすぐに返事をすることは出来ない。
「一年やる。
一年男として霧ヶ峰に通うことができたら真琴の勝ち、女だってばれたら父さんの勝ち」
「……勝ち負けを決めるってことは、もしかして負けたらリスクがある?」
「ああ…勝ったら女優になれるよう最大限援助しよう、負けたら父さんが決めた相手と見合いをして卒業と同時に結婚してもらう」
そんな無茶苦茶な…
女優になりたいなら男子校に入れなんて意味がわからなすぎる。
上手く言いくるめて見合い結婚をさせようとしてるとしか思えない。