お姫様は王子様を演じてる



毎時間ごとに生徒によって配られる課題のプリントは相当難しいものが多くて特進クラスだってことを再確認した気がした。



横に目をやると、スラスラと軽く動くシャーペンにびっくりする。



ケイ、本当に頭良かったんだ…



ごめん…てっきり何か裏から手を回して特進にいるのかと思ってました…



ケイはすぐに課題を終えると机に伏せるようにしてグーグーと寝息を立てる。



すると、悠斗が見計らったようにケイのプリントを丸写ししだした。



「ちょっと!何やってるんですかっ?」



悠斗は私と視線を合わせずにプリントを書き写すことに夢中だ。



「カンニング。
僕、数学は嫌いなの。
ケイは頭は悪いけど勉強できるからさー」



「ええっ…それっていいんですか?」



「そんなの、個人のモラルの問題でしょ?
テストではきっちりやるけど今は気分じゃないんだもん」



気分とかそんな問題?
大体風紀委員がカンニングとかありなんですかね…



はっきりとしているのは悠斗のモラルは完全に破綻してるということ。



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