お姫様は王子様を演じてる



「…丁重にお断りします」


私の一言に兵藤一樹の表情が一気に曇る。



「何故断る?
生徒会の素晴らしさがお前はわからないのか!!」



私は明後日まで朝からミニトマトは食べたくないから必死で言い訳をすることにした。



「生徒会にすっごく興味はあったんですけど。
他にやりたいことが出来てしまって……」



本当は特にないけどこの際仕方ない。



こんな疲れる男と四寮以外でも四六時中に一緒にいたら私の精神はきっと崩壊してしまう。



その時、すっかりポテトチップスを食べ終わって指まで舐めている悠斗が眼鏡男に向かって口を開いた。



「真琴は風紀委員やるみたいだよー!」



「えっ…?」



驚いて声を出す私と、眉をピクッと動かして不機嫌そうな兵藤一樹。



そんな私達を見て悠斗は薄いピンク色の唇の端をふっと上にあげた。




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