お姫様は王子様を演じてる



―――ボクシング部の部室は大層立派な物だった。



大きなリングに、サンドバックが何個か、部室の壁を張り巡らすように鏡がある。



ここまでは良かった。



豪華なソファーにプラズマの大きなテレビ、海外製の馬鹿でかい冷蔵庫。



これって、必要??



色とりどりの髪をした部員達はゲラゲラと下品な声を上げながらソファーに座ってテレビを見ている。



彼らはスナック菓子を頬ばって楽しそうにしていたのに…



扉を開けて入って来た私達を見て、しばらく時が止まった。



「はい、こんにちはー。
風紀委員です。
みなさんの乱れた風紀を正しに来ましたっ!!」



天真爛漫な笑顔を浮かべて楽しそうにしゃべる悠斗はとっても可愛いけど…



ボクシング部のみなさんは固まったままだ。



< 63 / 190 >

この作品をシェア

pagetop