お姫様は王子様を演じてる
『はい…ど、ち、ら、様ですかっ?』
かなり切れ気味だけどやっと応答があった。
「今日から、ここに入る上野真琴です。
ドア開けてもらっていいですか??」
『………チッ』
……今コイツ舌打ちしたよね?
ガチャリと受話器を置く音がしてインターホンは切れた。
しばらくすると扉が開いて中から半裸の男が顔を出す。
派手な金髪でぱっちりとした二重に碧い瞳、綺麗に通った鼻筋。
一瞬見惚れるくらいの整った顔だ。
「うぜーな、お前。
何回鳴らすんだよ……
こっちは取り込み中なんだからさ」
綺麗な青年は顔に似合わない毒を吐いた。