いつも一緒に
「はい、落としたよ?」


「あ、どうも」


隣に座っている人は女性。


黒くてそこそこ長い髪をしていて、大きな目をもっていた。


吸い込まれそうなぐらいに綺麗な漆黒の瞳。


三秒ほど彼女から視点が外せなかった。


シャーペンを受け取っても目を離さない俺を不思議に思ったのか、頭にクエスチョンマークを出したように首を傾げた。


慌てて視線を外して俺は前を向いた。


ドクン・・・ ドクン・・・


心臓の鼓動が早くなる・・・


この新クラスで一番最初に話しかけたのは、加藤ではなくて、名も知らない彼女だった。


俺がこの一瞬でどう思ったのか知らない、俺自身もわからない。


優しさに惹かれたのか、姿に惹かれたのか。


まだそれを理解するのには時間が無さすぎた。


この時既に俺の歯車が動き始めた。
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