[短]恋ココロ
「夏帆、もう私はいいの。振られたんだから。次の恋に向かってレッツゴー!」
「え....ちょ...!走るな、そこぉー。」
私は淋しさと痛みと未練を振り切るように駆け出した。
また涙がにじんでいるのが分かる。
「っ....。」
あの微笑はもう私に向けられることはないんだ。
あの大きな手で私の頭をなでてくれることもなければ、少しかすれた甘い声で名前をよんでくれることもない。
ぶかっこうな私たちの陰を指差して笑うことはできないんだ。
どうせなら、もっと優しくしてあげればよかった。
憐が抱えてるものすべて包み込めればきっとまた何か変わっていたのかもしれない。
最後のほうはデートも義務的で笑う回数も減ってきて、そういえば私は最近憐の前で笑わなくなっていた気がする。
きっと憐だけじゃないんだ。
私も別れたかったのかもしれない。