しあわせうさぎのおはなし

 そういえば、こんなこともありました。5歳になったくーちゃんはいつものようにぼくを連れて公園に遊びに来ていました。このころ、くーちゃんはぼくのことを「ぴょん」と呼んでいました。すべり台をすべったり、ジャングルジムに上ったり……。中でもくーちゃんのお気に入りは、砂場でのおままごとだったので、ぼくは毎日泥だらけ、おかあさんもちょっと困り顔でした。そしてこの日も、くーちゃんは友達と砂場でおままごとをはじめました。
 どれくらいたったでしょうか。空がりんごのような赤に染まり始めたころ、おかあさんがくーちゃんを呼びました。くーちゃんはおかあさんのところへ走っていきます。そのまま手をつないでお家へ……って、待ってよくーちゃん! ぼくのこと忘れてるよ! ぼくの声は届くことなく、二人は帰っていきました。
< 4 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop