しあわせうさぎのおはなし



 夜になりました。くーちゃんのいない夜は久しぶりです。虫の鳴き声は聞こえるのに、なんだかすごく静かです。
(月が、綺麗だな)
 真ん丸なお月様はいつもよりとても大きいような気がしました。あの上で、ぼくの仲間たちはお餅をついているのでしょうか。そんなことを考えていると、向こうから誰かが走ってくる音が聞こえ、ぼくは息をひそめました。もしゴミ拾いのおじさんだったらどうしよう、もし野良犬だったら……。そんな不安は、すぐに消えました。くーちゃんだったのです。
「ぴょんっ、ごめんね! ごめんねっ!」
 くーちゃんはぼくを見つけると、砂がつくのも構わずにぎゅっと抱きしめました。

 ぼくはくーちゃんが大好きです。
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