しあわせうさぎのおはなし

 中学生になると、くーちゃんはいつの間にかぼくのことを「プランタン」と呼びはじめました。フランス語で「春」という意味だそうです。このときから今までずっと、ぼくの名前はプランタンです。
ある冬の日のことでした。その日は朝からくーちゃんの様子が変でした。いつもより紙袋がひとつ多い荷物を用意しながらなんだか落ち着かない様子のくーちゃんを見ていると、ぼくも不思議とじっとしていられないような気分になってきます。落ち着かない様子のまま、くーちゃんは学校へ行ってしまいました。
学校から帰ってきてもくーちゃんの様子は変でした。かばんを置くなりベッドに顔をうずめてうなったり、ごろごろと転がったりしていました。これがいわゆる「情緒不安定」というものなのでしょうか。ぼくはくーちゃんが心配で仕方ありませんでした。
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