しあわせうさぎのおはなし



 そんなことがあったくーちゃんですが、高校生になってからは恋人もできました。ある日、その恋人さんが家に遊びに来ることになりました。くーちゃんは朝からそわそわしながらお部屋をかたづけていました。
 ふと、かたづけをしていたくーちゃんの動きが止まりました。ベッドの上のをしばらく眺めていましたが、不意にぼくを抱き上げると、部屋の隅の棚の影に隠してしまいました。
(え?)
 ぼくは少し戸惑いました。今までくーちゃんがぼくを隠すなんてことはありませんでした。くーちゃんはいつも自慢げにぼくを見せて……。ぼくが呆然としている間にも、部屋はかたづけられていきました。
 どのくらい経ったころでしょうか。くーちゃんが背の高い子を連れて部屋に戻ってきました。彼とくーちゃんは楽しそうにお話しています。何はともあれくーちゃんが楽しそうでよかった、そう思ったときでした。
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