甘いケーキは恋の罠
「ごちそうさまでした。」
「いいえ。」
新作ケーキはどれもとても美味しく、周りなど見えていなかった私は目の前に彼がいたことに驚いた。
先程までゆきが居た場所に彼がいたことは少し不自然に感じた。
それだけではなく、彼から放たれるオーラが不穏な物で腰が引けた。
それは彼にも伝わってしまっていたようだ。
「クスッ。そんなに怯えなくても。」
彼が不敵に笑う。
そして身を乗り出して右手で私の頬を包み込むように触れた。
いつの間にかレジにいた女の人も消えていて、私と彼の2人きりになっていた。