甘いケーキは恋の罠
チョコレートは媚薬



この甘い痺れはチョコレートなのか、それとも彼によって与えられたものなのか。


私の思考回路は麻痺していた。


「知ってます?チョコレートには媚薬の効果があるってこと…。」


彼が何かを言っているが、それも全て遠いものに感じる。



――ガチャン――



大きな物音で一気に意識が取り戻された。


見ると紅茶の入ったカップが床に割れて散らばっていた。


「すいません!直ぐに片付けます!!」


私がカップの破片を手で拾おうとすると彼の手が伸び、それを制止させる。


「大丈夫ですか、怪我は!?今箒を持ってきますから危ないので触れないようにしていてくださいね。」


申し訳ないと思いつつ、彼の言うことを聞きじっと待っていると箒を持った彼がやってきた。


「服…汚れてしまいましたね…。」


何のことだかよく分からずに服を見るとまだカップの中に入っていた紅茶が染みを作っていた。


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