甘いケーキは恋の罠
――ああ、お気に入りのブラウスだったのに…。
白いシフォンブラウスには茶色の染みが広がっている。
ため息を零しそうになったけれど、なんとか飲み込んだ。
「すみません、僕がクリーニングに出すので落ち込まないでください。」
そんなに顔に出ていたのだろうか、カップの破片を塵取りに入れた彼が私にむかって頭を下げた。
「いえ、私がカップを落としてしまったから……。カップ!!すみません、弁償します!」
「あぁ、いいですよそれくらい。」
彼はそういうものの、私自身が納得いかなかった。
「でも…。」
なおも食い下がる私に彼が口を開く。
「それでは、明日新しいカップを買うのに付き合う…それでいかがでしょう?」